2021年4月、トヨタ自動車が戦略的な車両を発表しました。Advanced Drive付きの新型「MIRAI」です。
この車両は、2つの点で注目に値します。まず、トヨタが心血を注いで開発した新型の燃料電池(FC)を搭載したこと。先代MIRAIのFCよりも、単位体積当たりの出力電力を3.1kW/Lから5.4kW/Lと71%高密度化したほか、最高出力を114kWから128kWに向上させるなど、大幅に進化させました。また、トヨタとしては、このFCシステムを乗用車のみならず、トラックなどの大型車、船舶、電車などに積極的に提供していく計画です。今後の脱炭素時代を見据えた戦略的な部品なのです。
もう1つは、レベル2+相当の自動運転機能であるAdvanced Driveです。同機能は、トヨタとして初めて遠隔からのソフトウエアアップデート機能(OTA)を持たせました。現時点では自動車専用道路での自動運転や、自動追い越しなどの機能しか持ちませんが、今後のアップデートによって機能強化がされていくと見られています。さらに、現在はAdvanced Drive用にレーザレーダ(LiDAR)を前方方向に1個しか搭載しませんが、今後、左右フェンダ部分と後部にも無償追加を行い、機能向上させていく予定です。
本レポートではこのAdvanced Drive付き新型MIRAIを分解することで、FCとAdvanced Driveを中心に、電動システムやシャーシ、ヒューマンマシンインタフェースなど、その全体像を徹底調査。FCパートでは、FCセルの材料分析も行っています。さらに、FCスタックで約300Vで発電された電力を650Vに昇圧するSiC MOSFETを用いた昇圧コンバータの構造にも踏み込んで解説。Advanced Driveでは、同機能を実現するECUをICレベルで分析したほか、接続ネットワークやバックアップ電源についても調査しました。
今後のトヨタの戦略技術の実装方法や開発方針、設計思想を知る上で、基本となる内容を豊富に掲載した、自信の1冊です。ぜひ、活用ください。
「燃料電池システム」の構成部品と、
その接続形態を徹底分析
先代のMIRAIから大幅に小型化したFCシステムを部品レベル、配管の接続形態まで踏み込んで丹念に調べました。
以下のようなことを理解できます。
● FCスタックがどのように構成されているのか?
● FCセルの構造は?
● FCセルの材料は?
● 水素はどのように流れ、どのように回生されるのか?
● 酸素(空気)過給システムは?
● 水素タンクはどのようにつながっているのか?
● 水素の減圧機構は?
● 冷却(加温)の仕組みと、その配管の構成は?
● FCシステムはどのように組み上げているのか?
● Liイオン2次電池や駆動システムと
どのように連係して動作するのか?
● FCシステムはどのようなECUで制御されているのか?
FCシステムだけで、100ページ超を割いて詳しく解説
FCスタックやセルの外観、内部構造、配管の状況、水素タンクの搭載方法に加え、走査電子顕微鏡(SEM)による燃料電池セルの断面観察画像も掲載。また、エネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分布解析も実施しました。豊富な写真によって、視覚的に理解できます。
カメラ、ライダ(LiDAR)、自動運転向けコンピュータなど、
Advanced Driveを構成する部品の接続形態、搭載ICなどを調査。
Advanced Driveを実現するために、トヨタ自動車としては初めて、無線通信を通じたオンラインアップデートによる機能拡張を実現したECU群を搭載しました。本レポートでは、Advanced Driveを構成する下記の主要ECUの機能詳細と、筐体の構造、冷却方法、基板に搭載されているICを調査。ICはパッケージングのラベルから、メーカーとその機能を可能な限り調べました。また、Advanced Driveと共に搭載される先進運転支援機能である「Toyota Safety Sense」のECUについても調査しました。
本レポートで調査分析した、主な運転支援技術向けECUやセンサ
● アドバンストドライブコンピュータ
● アドバンストドライブエクステンションコンピュータ
● スペイシャルインフォメーションサービスコンピュータ
● ミリメータウェーブレーダセンサ
● ライダアドバンストドライブセンサ
● ドライビングサポートコンピュータ
● クリアランスウォーニングコンピュータ
● イーサネットスイッチングハブコンピュータ
● アドバンストドライブカメラ
● オブジェクトレコグニションカメラ
● ドライバモニタカメラ/ドライバモニタコンピュータ
● フロントサイドレーダセンサ
● マルチパワーコントロール コンピュータ/
サブバッテリシステム
将来拡張予定のライダ(LiDAR)搭載場所を分析
リアバンパのライダは2021年8月時点では使用されておらず、「将来簡単に取り付けられるように配線をしてある」(トヨタ自動車)としていますが、一体、どのように準備がなされているのかを分析しています。
本格的に採用した車載イーサネットについても調査
次世代の車載ネットワークでの活用が期待される車載イーサネットの搭載状況について、車載ネットワークのトポロジーから調査しました。
DC-DC昇圧コンバータの部品配置や
冷却などの内部構造、回路を調査・分析
高耐圧、高効率という特長から次世代のパワー半導体として注目を浴びるSiC。今回、新型MIRAIでは、トヨタ自動車として初めて※FC昇圧コンバータにSiC MOSFETを搭載しました。本レポートでは、このFC昇圧コンバータの全体的な構造、SiCパワーモジュールの冷却機構を調査しました。
※日経クロステック調べ
トヨタ自動車は、新型MIRAIのFCシステムを、乗用車のみならず、トラックやバス、船、電車、定置用発電システムなどに適用していく方針を示しています。つまり、このFCシステムを水素社会の中核として育てていこうとしているのです。このFCシステムを徹底的に分析した本書は、カーボンニュートラル時代に必須の最先端技術を知ることができる、必須のバイブルです。ぜひ、入手を検討ください。
編集責任者中道理
日経BP
日経クロステック副編集長、日経エレクトロニクス編集長
<経歴>『日経バイト』『日経コミュニケーション』『日経エレクトロニクス』で技術系専門記者として活動。2017年からオープンイノベーションを実践する『リアル開発会議』の編集長を務めた後、2020年1月より現職。「日産自動車『リーフ』徹底分解」シリーズや「テスラ『モデル3/モデルS』徹底分解」シリーズで主要メンバーとして分解・調査、編集・執筆、フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.3」の分解・調査においても主導的な立場で関わり、日経クロステックの特集記事「VW本気のEV『ID.3』徹底分解」では記事を執筆したほか、責任者を務めた。近著は「4脚歩行ロボ『Spot』の執筆・編集・監修。
【収録内容】
●第1章より「新型MIRAIの位置付け」-「車両」
●第2章より「燃料電池部」-「燃料電池部概要」、「水素供給系」-「水素タンク」
●第3章より「電動駆動システム概要」-「電動駆動システム構成要素」
●第4章より「シャーシ概略」-「シャーシ諸元」
●第5章より「車体全体像」-「車体概要」
●第6章より「インテリア」-「インテリア概要」
●第7章より「EVコントロール全体像」-「EV駆動メカニズム」、「EVコントロール用主要ECU」-「EVコントロールコンピュータ」
●第8章より「先進運転支援全体像」-「先進運転支援機能概要」
●第9章より「車載情報システム全体像」-「情報提示システム」
●本レポートの全目次
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