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(監修:危機管理対策アドバイザー 国崎 信江、 構成:ecomom編集部)

警視庁の調べによると、平成16年度の学校における犯罪は、4万3516件。10年前(平成6年)に比べて、件数で1.6倍、凶悪犯は1.7倍に増えています。

にもかかわらず、危機管理対策アドバイザーの国崎信江さんは「学校サイドの危機意識はまだ低いところが多い」と残念そうに言います。

平成13年大阪教育大学付属池田小学校で起こった痛ましい事件は、まだ記憶に新しいところですが、その後も、学校での事件は起きています。平成16年に、不審者が学校の構内に侵入した事件は19件。残念なのは、防犯意識さえしっかりしていれば、かなりの数が防げたのではないかと思われることです。

防犯対策として多くの学校が防犯カメラ、さすまた、防犯ブザーの配布を検討・実施していることと思いますが、重要なのはその対策が、現実的に学校の状況に合っているかどうかということです。

平成16年に起きた、侵入事件のうち、過半数の11件で、施錠されていませんでした。文部科学省は、校門を施錠するよう、各教育委員会に通知ずみですが、まだ徹底されていないのが現状です。たとえば、開かれた学校づくりを意識して塀をなくしたり、地域の中の学校という位置づけで地域の人が自由に行き来したりすることを黙認している学校では、いきなり「施錠しなさい」といわれても難しいでしょう。この場合他の方法で不審者を近づけさせない対策を講じなければなりません。

職員一人ひとりが自身や子供たちの安全についてしっかりと考え、その学校にあった対策を講じる必要があるのですが、「結局何をどうしたらいいのかわからない」という段階で足踏みされて、しっかりした安全策を講じられていない学校が多いことが懸念されます。

親も一緒に学校の防犯を考える

親が主体的に動いてこうした事態を変えなければ、子どもたちの安全は守りきれません。「学校の防犯対策は学校にお任せ」では済まないのです。

学校、親、地域の3者が協力しあって、力を合わせて、はじめて子どもたちの安全が確保できると言えると思います。まずは、連絡帳に、子どもの保護者として、安全面での配慮を学校に求めていることが分かるメッセージを書きましょう。

例えば「先日、学校に伺ったときに、来訪者チェックがありませんでした。子どもを狙う事件が多発していることを考えると、心配です」など。さらに、家庭訪問や個人面談の時に、学校の防犯体制についての質問をしておきましょう。

その場ではっきりした返事がもらえない場合、「後日、お返事ください」などという形で、督促することも必要です。


PTAへの働きかけも必要

PTAの役員などをしていえる場合、学校の防犯体制をPTAの議題として取り上げるのもいいでしょう。保護者は皆、子どもの安全を望んでいますから、危機意識を共有しやすいはずです。PTAから学校側に働きかるようにすれば、学校側に要求を受け入れてもらいやすくなります。

登下校時の「校内パトロール」や「通学路パトロール」を導入するのも、効果的です。横浜市では、保護者や地域住民が市内の小中学校の校内パトロールなどをボランティアで行う「よこはま学援隊」の活動が広がっています。

市が、保護者や老人会などで作られたボランティア団体に助成し、学校の校門や校舎の施錠管理などを担当しているのです。団体は助成金でそろいのジャンパーや、腕章、トランシーバーなどを購入しているので、ひと目で「パトロールの人」ということが分かり安心です。


地域のコミュニティ復活を

子どもを狙い傷つけるのも、その危険から子どもを守るのも、同じ人間です。さまざまなハイテク機器を導入するのも、ある程度効果的な方法ではありますが、やはり最終的には、信頼できる大人同士のネットワークで子どもを守っていくのが一番効果的な方法です。

その意味で、信頼できる大人のネットワークを形成する「地域コミュニティ」をどう育てていくかを考えることも、子どもたちを守っていく上で大切なことではないでしょうか。

情報化が進む中で、生活の屋内化に拍車がかかり、人と人がかかわる機会が減っています。都会のマンションでは、隣に住む人の顔を知らないことは珍しいことではありません。

現在の都会生活の状況は、子どもたちが襲われやすい「都市の死角」を生み出しやすくなっているのです。

とかく、防犯というと、外部侵入者に対して、自分たちの生活を守る内向きの発想になりがちです。

しかし、もっと子どもがのびのびと遊べる街づくり、大人の目が温かく子どもを見守っていられる地域社会作りにも、目を向けることが必要でしょう。

その第一歩として、働き盛り、子育て盛りのお父さん、お母さんには、ぜひ積極的にコミュニティと関わって欲しいと思います。地域を散策し、子どもたちと一緒に公園で遊び、ご近所と挨拶を交わす。そんな関係作りが、子どもを安心して育てられる安心・安全な街づくりにつながっていくのですから。


学校で起きている犯罪

1.乗り物盗 11,336
2.非進入犯 10,940
3.進入盗 6,247
4.粗暴犯 1,761
5.知能犯 185
6.風俗犯 100
7.凶悪犯 94
8.その他刑法犯 12,853
 

進入事案発生時の門の施錠

  進入事案 施錠なし 一部施錠あり
平成15年 22 11 8
平成16年 19 11 4


都市の死角になりやすい場所
1.暗く、見通しの悪い公園
2.多くの店のシャッターが閉まっている商店街
3.オフィスビルと近接する集合住宅の通路や駐車場
4.地上げによる空き地や駐車場
5.商店街に近接する規模の大きい公園
6.集合住宅北側にある公園
7.高層住宅の見通しの悪い出入り口付近
8.高架下の公園
9.汚い公園
10.大規模な駐車場
(出所:「子どもはどこで犯罪にあっているか」中村攻 晶文社)


危機管理対策アドバイザー 国崎信江 プロフィール
ホームページ:http://www.kunizakinobue.com/

横浜生まれ。91年外資系航空会社の機内通訳を経験した後結婚を機に退職。主婦となる。97年 阪神淡路大震災のような自然災害から小さな子どもを守るための研究を始める。 防犯では、自分の子どもと変わらない年齢の子どもが狙われる事件が相次いだのをきっかけに、身近な危険から子どもを守るために不審者対策にも研究の幅を広げ、広く「いのちをまもる」ための活動に取り組んでいる。