

日本館では、温室効果ガスの抑制、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の促進、シックハウスフリー、壁面緑化などによる自然との共生、環境配慮に関するモニタリング(情報管理)と可視化による環境コミュニケーションに積極的に取り組んでいる。なかでも、3Rの観点では、前提としてのリデュース実施、優先的なリユース実施、リサイクルの徹底と質的高度化をめざしている。
リデュースの実施としては、調達資材の選定段階から、廃棄物の発生抑制が図られる環境配慮型の材料・製品を優先採用してきた。たとえば、長久手日本館におけるとうもろこしを原料としたバイオマスプラスチックの外壁など、使い終われば自然環境に同化し、廃棄物を抑制できるバイオマス素材をふんだんに取り入れている。
また、長久手日本館では、小径で短いために捨てられてきた丸太の間伐材を9本束ねた構造柱(束ね柱)やその束ね柱を4本組み合わせてやぐらをつくり高さ最高14メートル、柱間隔最大18メートルの大空間をささえる柱(組柱)を用いているが、これらの柱の結合には竹コネクターという筒状の竹材を用いることで、金物を使用せず、リサイクル時の分別を不要としている。また、解体時に発生するガラス等はできる限りマテリアルリサイクルをめざすなど、リサイクルの徹底と質的高度化に留意している。
しかし、今回、特に力を入れたのは建築部材や設備を積極的にリユースすることだ。6か月間しか使っていない部材や設備を、そのまま使えないかという「もったいない」の発想からこのリユースは取り組まれている。優先的なリユースを実現するために、日本館では解体工事の過程で部材や設備をできるかぎり容易に取り出すことができるように設計段階から配慮し、それらの部材・設備を二次利用する受け手をインターネット上で募ろうとしている。
けれども、建築部材・設備のリユースを進めるのは容易ではない。建築部材や設備のリユースを推進していく上で阻害要因となるもののひとつとして、引き渡す際の資材情報の不足があげられる。一般的に中古品は、新品の取得価格と使用期間は容易に把握できるが、一次ユーザーの使用状況についてはっきりしない面があるため、対象品の物理的な残存価値が不明確となり、結果として二次利用に至らないことがある。このため、今回日本館では、投入する建築部材・設備の一部にICタグを貼り付け、資材の生産情報(メーカー名、型式、価格等)、運用情報(清掃、点検、修理履歴等)および解体情報(解体時の損傷等)をICタグに入力・管理していくとともに、受け手側を募る際に情報を開示し、残存価値の把握の参考としてもらえるように配慮されている。実際に長久手と瀬戸の両日本館では、空調機器、エレベーター、トイレ、柱・外壁等に使用している木材の計4種類の資材約420点にICタグが貼付けられている。
もうひとつの阻害要因として、建築部材・設備を二次利用するに当たって、リユース品の品質が担保されていないということがあげられる。たとえばエレベーターの様な設備では、人が乗って移動するという使途から、製品の性能の信頼がおけなければ、どうしてもリユース品の使用には二の足を踏むことになる。このための取り組みとして、空調やエレベーターなどの設備系の中古品には、受け手の募集の際に、製品検査、品質保証などの付帯サービスをオプションとして用意し、受け手が必要とするサービスを選択してもらう。木質系の柱材等は同じくオプションとして切り揃え程度の簡易な加工を施す用意をしている。オプション化することにより、受け手側が真に必要としているサービスが何かという傾向を探ることができ、これらのデータの集積が将来の建築部材や設備のリユースビジネスが成立していく上での必要な知見として得られるものと考えている。
つまり、今回の取り組みは、愛・地球博における日本館の解体撤去に伴い発生する建築資材や設備の二次利用者を単純に募るのではなく、より詳しいリユース資材の情報やリユースを促進すると思われる付帯サービスの情報をインターネット上に公開し、受け手側の反応をみて、建築資材のリユースがビジネスとして成立するために必要な要素を探り出そうという試みだ。また、インターネットへのアクセスを通じて、一般の人びとの環境に対する意識の具体的なポイントはどこにあるのかを検証したいという目的もある。
ごみにならないエコ素材の活用(リデュース)、フリーマーケットを通じた中古品の再使用(リユース)、ごみの分別回収(リサイクル)などを通じて3Rが私たちの生活レベルにも定着してきた感がある。しかし、産業レベルにおいては、リサイクル率が高まっているものの、建築資材や設備をそのまま再使用するというリユースについてはまだまだクリアすべき課題がある。このため、単に日本館の解体をきっちり行なって環境負荷を低減するだけでなく、今後、産業レベルでリユースを促進させていくための具体的な知見を得るための実証実験としても、日本館の3Rの取り組みは未来に向け大きな意味を持つのではないだろうか。
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