
「プロジェクターを買いたいが、機種選びに迷ってしまう」「スペックの見方が今一つよくわからない」最近、そんな話をよく耳にする。この連載では、プロジェクターを選ぶ際に絶対押さえておきたい基本知識を、5回にわたって紹介していく。第1回目は、ビジネスプロジェクターの市場動向と分類、用途別の機種選定のポイントについて解説しよう。
ビジネスシーンに浸透した観のあるプロジェクターだが、実際にどのような需要があり、今後どのように進化していくのか。ビジネスプロジェクターの市場動向と今後の傾向を、株式会社富士キメラ総研 第二研究開発部門 課長の稲葉視朗氏に伺った。
「ビジネスプロジェクターの市場は、ここ数年の伸び率は約10%ではありますが、着実に成長を続け、2008年度には累計出荷台数20万台突破を見込んでいます。社内会議や、少人数でのミーティング、プレゼンテーション用の機器として、すでに大手企業を中心に活用され、今後は中小企業やSOHOでの導入も進んでいくと見ています。特に2kg以内のモバイルプロジェクターについては、今までは2000ルーメンで20万円ほどの機種が主流でしたが、現在は、同様の価格で2500~3000ルーメンの機種が多く登場し、シェアを伸ばしています。2008年は、プロジェクターメーカー各社で新機種投入が予想されています。中でも特に注目されているのが、短焦点プロジェクターです。普及機である20万円クラスのモバイルプロジェクターと比べ、価格面での課題はありますが、わずか1mの距離で100インチを投写できる短焦点プロジェクターは、教育市場を中心に導入が見込まれ、ビジネス市場でも新たな需要を生み出す可能性があります。ワイド対応のWXGA機の投入も予想され、ユーザーの選択肢はさらに拡がることになります」(稲葉氏)。
今後はすでにプロジェクターを導入している企業では、追加購入や買い替えが見込まれ、プロジェクター市場のさらなる拡大が期待されている。
■ モバイルプロジェクター
客先でのプレゼンテーション、プロジェクターが常設されていない会議室やミーティングスペースでの利用など、社内外に「持ち運んで利用する」ことを前提に設計されたプロジェクター。明るさは1000~3000ルーメン。重さ1.5kg前後で本体はB5~A5サイズと軽量でコンパクトな点が最大の特徴である。また、電源オンから利用可能状態になるまでの時間を短縮する、終了時のクールダウンを不要にする等、設置から撤収までをよりスピーディーに行えるよう、各メーカーがそれぞれ工夫を凝らした機能を搭載している。
■ マルチユースプロジェクター
3~4人でのちょっとしたミーティングから、50~100名程度の会議やプレゼンテーション、セミナーや学校の授業など、幅広い用途に対応する。明るさは2000~3000ルーメンで、解像度はXGAという機種が中心。このタイプのプロジェクターはメーカー各社から数多くの製品が発売されており、有線・無線LAN対応や、PCレスプレゼン対応、オートフォーカスなどの機能を搭載したハイスペックの製品から、機能を減らして価格を抑えたバリューモデルまで、様々なバリエーションがある。
■ 高輝度プロジェクター
広いホールや大会議室、イベント会場などに設置し、大画面投写を行うためのプロジェクター。明るい室内でも見やすいよう、明るさは3000~10000ルーメン。PCだけでなく、多様なAV機器に接続できるよう入出力端子類を豊富に備えており、設置環境に合わせて、レンズが選べるようになっている製品もある。
■ 超短焦点プロジェクター
従来よりも、スクリーンまでの投写距離を大幅に短縮し、スクリーンから1m前後の距離からの投写を可能としたプロジェクター。スクリーンに近い場所にプロジェクター本体が設置できるため、スペック上の輝度よりも明るく感じられる。また、発表者がスクリーンのすぐ近くに立っていても発表者の影が映り込まず、発表者自身もプロジェクターのランプの眩しさを感じないで済むという利点があり、海外では、学校の教室などに広く採用されている。また、小売店のショーウィンドウへのディスプレイ表示等にも利用される。

