日本人に多い緊張型頭痛は、頭のまわりの筋肉の収縮によって出現する。首から肩にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなると疲労物質が筋肉にたまり、神経を刺激して痛みが起こるのだ。筋肉の緊張は、長時間のパソコン操作やデスクワーク、心配や不安などの精神的ストレスが原因で起こりやすくなる。
図2は、歯をぎゅっとかみしめているところに電気的な刺激を与えて、かみしめている筋肉がどう反応するかを調べたもの。人間の体はストレスを受けると筋肉が収縮して硬くなるが、大脳を通して自然にそれを抑制し、硬さをほぐすような反応を起こす。ところが、この脳の痛みの調節系がスムーズに働かない場合、首や頭のまわりの筋肉を解きほぐせず、ついには頭痛を引き起こすのである。
この緊張型頭痛は、締め付けられるような痛みが、頭の両側に起こるのが特徴。痛みは毎日のように起こり、1日中ダラダラと続くこともあれば、30分〜数時間で治まる場合もある。また、午後になると痛みが強まってくることも多い。頭痛の最中に体を動かしても、頭痛が悪化することはなく、むしろ体操やマッサージをすることで、頭痛が楽になる。
緊張型頭痛への対処は、「まず何がストレスとなっているのか、自分の生活を見直してみることが必要」と北里大学内科教授の坂井文彦氏は指摘する。たとえば、職場の人間関係に悩んでいないか、仕事のノルマがきつすぎないか、パソコンをやりすぎていないか、家族にトラブルが起きていないか……。頭痛日記をつけて、頭痛の現れ方や、痛みの程度、痛む場所などをチェックすると、関係のあるストレスを見つけやすくなるという。
なお、慢性頭痛には緊張型頭痛以外に、片頭痛と群発頭痛がある。典型的な片頭痛では、頭の片側で心臓が脈打つようにかなりひどく痛む。階段の昇降や運動によって頭痛が激しくなり、吐き気を伴ったり、光や音に敏感になるといった症状を伴う。一方、群発頭痛は片側の目の奥が激しく痛む。睡眠中に起こることが多く、いったん発症すると1〜2ヵ月の間ほぼ毎日続くのが特徴だ。自分の頭痛がどのタイプなのかわからなければ、迷わず医師の診断を受けよう。
緊張型頭痛が一度起こると、痛みによって筋肉のこりや血流の悪さが増幅され、頭痛がひどくなっていつまでも続く、という悪循環に陥ることも少なくない。
生活の工夫をしても頭痛が治らない場合は、薬を服用する。緊張型頭痛の治療に使われる薬には、痛みが脳に伝わるのを防ぐ「鎮痛薬」や、血管の周囲の炎症を抑える「消炎鎮痛薬」がある。これらの薬は市販もされている。坂井氏は「鎮痛薬や消炎鎮痛薬は、早めに飲むほうが効果的」と強調する。
「早めに飲むと服薬量が少なくて済みますが、時間がたってから飲むと少量では効かないため、飲み過ぎてしまいます。薬の量が多過ぎたり、長期連用すると、脳の痛みの調節系の働きがさらに悪くなってしまいます」
つまり、痛み始めたら早めに鎮痛薬(市販のものでよい)を飲むのがポイントで、鎮痛薬が効かないという人は、飲むタイミングが遅すぎる場合が多いのだ。それでも頭痛が長びくようなら、頭痛外来など専門医に相談したほうがよい。
また、いつもと違う急激な頭痛の時は、くも膜下出血や脳出血の恐れもあるため、神経内科や脳神経外科で診察してもらうことが必要だ。こうした頭痛への対処法を知っておけば、痛みを軽減することにつながるはずだ。