早期発見、
早期治療が大切
〜「目の成人病」緑内障〜
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40歳以上に急増する緑内障
〜17人に1人が発症〜 早期治療で進行を食い止める
〜治療のメーンは点眼薬〜
 緑内障は、視野が欠けていく病気
緑内障にかかりやすいのはこんな人
 点眼薬と上手につきあう
 
眼圧・眼底・視野の3セットで早期発見
〜緑内障検査はこう受ける〜 緑内障の診断・治療が受けられる
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40歳以上に急増する緑内障
17人に1人が発症
緑内障の患者が増えていることをご存じだろうか?
緑内障は、40歳以上の17人に1人がかかる身近な病気。
しかも、失明する危険を伴う重大な病気でもある。
ぜひ今から、家族も含めた対策を考えたい。
(監修/日本緑内障学会理事長・岐阜大学名誉教授 北澤克明)

緑内障だと気づいていない人が多い

 緑内障は、目で見た映像を脳に伝える視神経が死んで、ジワジワと視野が欠けてくる病気。放置すると、失明する危険もある。中途失明(事故や病気で失明する場合)の原因の12・8%を占め、糖尿病網膜症に次いで多い。「目の成人病」とも呼ばれるように、患者が増えてくるのは40歳以降。年齢が高くなるに従って、有病率も上がる。
 これまでは、40歳以上の30人に1人がかかるとされていた。しかし、2000〜02年に行われた最新の調査で、40歳以上の5・78%、つまり、17人に1人が緑内障だとわかった(下グラフ)。従来、考えられていたよりもずっと患者数の多い、身近な病気だったわけだ。
  緑内障というと、「眼圧が高くなる病気」と思っている人が多いだろう。ところが、日本人に最も多いのは「正常眼圧緑内障」という眼圧が高くないタイプ。眼圧は基準値内でも、その人にとっては眼圧が高過ぎるために、視神経がダメージを受けて発症すると考えられている。
 正常眼圧緑内障は、従来の眼圧検査だけでは発見できない。視神経がダメージを受けていないかを見る「眼底検査」や、視野が欠けていないかを調べる「視野検査」が必要だ。
 しかも、発症の初期段階では自覚症状がほとんどないため、受診が遅れがち。国内の潜在患者数は500万人程度と推定される一方、治療中の人は1割に過ぎないといわれるのはそのためだ。「緑内障なんて他人事」と考えず、対策を講じたい。

 
40歳以降、高齢になるほど患者数は増える  

2000年9月から2002年3月に、岐阜県多治見市の市民3870人を対象に行われた、日本緑内障学会による大規模疫学調査結果。緑内障は40代から増え始め、高齢になるほど患者は多くなる。
(データ:日本緑内障学会)

 

 

中心部の視野が欠けていく
10年から15年かけてじわじわと病気が進行

 緑内障にかかるとどんなことが起こるのか。最も重要なのは、目で見た映像を脳に伝える視神経が死に、多くの場合、中心部の視野が欠けてくることだ。多くは、10年から15年という長い時間をかけてジワジワと病気が進行してゆく。

 死んでしまった視神経は元には戻せない。そのまま放置すれば、失明に至る怖い病気なのだ。

 視神経は、眼球の奥にある視神経乳頭部から、眼球の後方に伸びている。この乳頭部が、高い眼圧でダメージを受けることが緑内障の始まり(左上の図)。

 眼圧が高くなる原因は、角膜の奥を満たしている房水の流れがどこかで滞るためだ(下図)。 緑内障の1タイプ、閉塞隅角緑内障で時に起こる急性緑内障発作では、房水の流れが完全に止まって房水がたまり、眼圧が急激に上昇して、一夜にして失明することさえある。

正常範囲内の眼圧でも視神経の一部が死ぬ  

正常範囲内の眼圧でも視神経の一部が死ぬ


眼球内の水分(房水)を排出する器官が詰まり、房水がたまると眼圧が上がって視神経がダメージを受ける。視神経が死ぬと視野が欠けてくる。

 

 

眼圧が正常でも起こる眼底・視野検査も必要
 

 しかし、眼圧の数値だけでは緑内障を診断できない。眼圧が正常範囲内でも、視神経がダメージを受ける「正常眼圧緑内障」もあるからだ。

 実は日本人に最も多い緑内障がこのタイプ。正常眼圧緑内障では、閉塞隅角緑内障ほど房水の流れは悪くなっていないので眼圧は高くはない。しかし、視神経がどれくらいの眼圧に耐えられるかは、もともと個人差が大きい。正常眼圧緑内障の人は、数値としては眼圧が正常範囲内でも、その人の視神経にとっては負担が大き過ぎるのだ。

 実際、正常眼圧緑内障の人に、眼圧を下げる点眼薬を使うと、約8割が視神経のダメージを食い止められるという。

 一方、眼圧が高くても、視神経にはダメージがなく、視野も正常な「高眼圧症」もある。これは今すぐ治療しなくても良い場合が多いが、将来、緑内障に移行する可能性もあるので経過観察が必要だ。

 緑内障かどうかをチェックするためには、眼圧を測るだけでは不十分。視神経の変化を直接見る「眼底検査」と、視野が欠けていないかどうかをチェックする「視野検査」が必要になる。

 緑内障の多くは両目に発症するケースが多い。ただし、視野が欠けてきた部分をお互いの目が補い合うため、見えにくくなっていることに気づきにくい。見えにくさを自覚したときには、既に病気がかなり進んでいる恐れがある。

 
眼球内の水分の流れが悪くなると眼圧が上がる  

眼球内の水分の流れが悪くなると眼圧が上がる


閉塞隅角緑内障では、角膜のすその部分と光彩がつくる角(隅角)がふさがり、房水の流れをせき止めている。一方、正常眼圧緑内障では、隅角は開いているものの、網の目状の排水溝(線維柱帯)が目詰まりを起こしている。

 

視野が欠けていく様子(片目で見た場合)

視野が欠けていく様子(片目で見た場合)
どうして緑内障って呼ぶの?

 病名に「緑」という文字がついているが、これは、緑内障の人の目が緑色に見えるという意味ではない。緑内障で失明した目に光を当てたとき、瞳が淡く青緑色に反射することから、そう呼ばれるようになったようだ。

 急性緑内障発作は、閉塞隅角緑内障の約3%に見られる。早期に眼圧を下げる治療で失明は避けられる。目の痛みや頭痛、吐き気など疑わしい症状が出たときは眼科へ急ごう。

 

 

緑内障にかかりやすい人
女性に多い緑内障強い近視の人は要注意

 緑内障にかかりやすいのはどんな人か。統計上、ある程度の傾向がわかっている。
 日本人に多い正常眼圧緑内障は、男性より女性に多い。さらに、次の6点がリスク要因とされる。(1)血縁者に緑内障の人がいる、(2)視力表のいちばん上が見えないほど強い近視がある、(3)頭痛持ち、(4)血圧が低い、(5)冷え性、(6)やせ形。
 近視は、その程度が強いほど、緑内障の発症リスクが高い。強い近視がある人は、視神経乳頭部が、ゆがんでしまう傾向がある。そのために、眼圧が少し上がった程度でもダメージを受けやすいのではないかと推測されている。
 頭痛、低血圧、冷え性に共通する血流の悪さは、視神経のダメージを進行させる要因になり得ると考えられる。
 緑内障が増えてくるのは、40歳以降。ちょうど目の調節力が衰え、疲れやすくなって、老眼鏡が必要になる時期と重なる。そのため、本来、緑内障の初期症状かもしれない目の疲れやすさや、見えにくさなどを、単に加齢によるものと思い込む人が多い。
「そろそろ老眼鏡が必要だろうか」と感じたときが実は、緑内障検査を受ける最も良い機会だ。眼鏡店で老眼鏡を作って済ませるのではなく、眼科で視力のチェックをしてほしい。このときに、次に紹介する緑内障の検査も受けるといい。

 

こんな人は早めにチェックを!
●家族に緑内障患者がいる
●強い近視がある
●頭痛持ち
●血圧が低い
●冷え性
●やせ形

正常眼圧緑内障は、視力表の一番上が見えないほどの強い近視や低血圧、頭痛持ち、冷え性でやせ形の女性に多いという。

 

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