知っていれば怖くない! 働きざかりの高脂血症と高血圧症「今からでも遅くない! 冬太りが改善しないあなたに」

第4回 高脂血症 - Hyperlipemia 監修:島本和明先生 札幌医科大学付属病院院長・第二内科教授
あなたの血管は大丈夫?検査値でわかるあなたの危険度
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症状が出る前の予防が大切ー高脂血症に関わる検査項目と数値の意味

動脈硬化は無症状で進行する



高脂血症が怖いのは、無症状で病気が進行することです。健康診断のとき、血液中の総コレステロール値や中性脂肪値の異常を指摘されても、「とくに痛みや不快な症状がないから大丈夫だろう」と放っておく人も多いのが現状です。しかし、その間に血管では動脈硬化が少しずつ進み、ある日突然、まるで時限爆弾が破裂するように、脳卒中、狭心症、心筋梗塞など、命にかかわる重大な病気を発症するのです(図1)

食生活の欧米化による摂取カロリーの増大、運動量の低下などにより、日本でも高脂血症にかかる人は急増しています。平成11年に厚生労働省が行った『国民栄養調査』では、40歳代の男性の60パーセント、50歳代の女性の63パーセントで、総コレステロール値または中性脂肪値の異常が見られています。これらの人は、自分自身では健康だと感じていても、じつは爆弾を体内に抱えながら生活しているようなものといえます。


健康診断の数値をしっかりチェック

健康診断では、高脂血症かどうかを判断するために、採血検査を行い血液中の総コレステロール値(TC)、LDLコレステロール値(LDL-C)、HDLコレステロール値(HDL-C)、中性脂肪値(TG)をチェックします。

コレステロールには「健康に悪い栄養素」というイメージがあるかもしれません。しかし、コレステロールは体の機能の維持に必用な成分です。体を構成している細胞の膜の重要な成分であるほか、副腎皮質ホルモンや性ホルモンもコレステロールを元に合成されています。また、中性脂肪は体のエネルギー源として重要な成分です。中性脂肪は肝臓、皮下・内臓脂肪に蓄えられ、体内のエネルギー源である糖分の蓄えがなくなったときに、速やかに放出されます。

では、コレステロール値や中性脂肪値は高くても気にしなくてよいのでしょうか。ここで問題となるのが検査項目に書かれたLDL-Cや HDL-C といったコレステロールの役割です。LDL-Cは主にコレステロールを肝臓から全身に運ぶ役割を担っており、逆にHDL-Cは各組織で不要になったコレステロールを回収し肝臓に戻す役割を果たしています。このように、LDL-Cも本来は体に必用な役割を果たしていますが、なんらかの原因で数値が高くなると血管や組織の細胞に必要以上にコレステロールを貯めてしまい、動脈硬化を引き起こすのです。逆に、HDL-Cは少なすぎると組織のコレステロールを蓄積させますので、低値が異常値となります。このような役割の違いからしばしばLDL-Cは悪玉コレステロール、HDL-Cは善玉コレステロールと呼ばれています。

これらの成分の量が、どれぐらい増えると動脈硬化などの原因になるかを示したのが図2です。



TC、HDL-C、TGについては、一般的な健康診断では必ず測定されますので、検査の結果をこの表にあてはめて判断してください。LDL-Cについては、検査を行わない場合もあります。そのときは図3の計算式でLDL-Cの値を計算することができます。詳しくは、産業医などに積極的に尋ねてみてください。


自分にあった治療法を専門医と相談

健康診断の結果に異常があった場合どうしたらいいのでしょうか。このとき自己流の判断は勧められません。なぜなら高脂血症による動脈硬化進行のリスクは検査の数値だけでは判断できないからです。専門医は、糖尿病や冠動脈狭窄の有無や家族歴など、患者の体の状態を詳しく検査し、治療方針を立てます(図4)


たとえば、既に動脈硬化がかなり進んでいる人や、糖尿病を合併している人などでは、すぐに薬剤による治療法を開始することが必要な場合もあります。逆に、生活習慣の改善で検査値を改善できる可能性のある人では、すぐには薬を処方されず、3ヶ月ほど食事療法や運動療法を行った後、再び検査を行い治療方針を決定することもあります。一度薬物療法を開始したら、自己判断で勝手に服薬をやめることはせず、医師の指示通りに服薬を継続するように心がけましょう。スタチンなどの薬物療法により、血清脂質値の改善のみならず、動脈硬化の進展が抑えられたり改善されたりすることが分かっています(図5)


重要なことは症状がないからとか、わずかな異常だからといって安心せず、一度、かかりつけ医や高脂血症の専門医と相談することです。そして、自分に合った適切な対策をとることで、恐ろしい動脈硬化性疾患を予防することができるのです。


最近注目を集めている超悪玉コレステロールとは

動脈硬化の進行を予防するには、LDL-C値を正常範囲にとどめておくことが最も重要ですが、一言でLDL-Cといってもいくつかの種類があり、その中でも動脈硬化を引き起こす危険の高いものがあることが最近の研究で分かってきました。それがsmall dense, LDL(sdLDL:小型高密度LDL)、いわゆる超悪玉コレステロールと呼ばれるものです。LDL-Cの中でも粒子サイズが小さく比重が高いもので、この値が高い場合の動脈硬化性心疾患の発症リスクは、通常の3倍になると報告されているのです。

最近では、sdLDLの検査技術も進歩しています。健康診断などで動脈硬化を起こしている可能性があると指摘されたり、家族や親戚が動脈硬化性疾患で亡くなったりするなど、病気の進行が心配な人は内科、とくに高脂血症の専門医に相談すれば、sdLDLの検査をしてくれます。食事・運動療法や禁煙といった生活習慣の改善が第一ですが、それでも値が改善しない場合は薬物療法を考慮します。スタチン系薬剤やフィブラート系薬剤などの一般的な高脂血症治療薬や、インスリン抵抗性改善薬にsdLDLを低下させる作用があることが報告されています。


協力:ファイザー
関連リンク:生活習慣病オンライン / 高脂血症オンライン