
僕は今、ブロードバンドがもたらす環境づくりに興味を持っていて、テーマが二つあります。
一つは『オフライン』。クリエイティブを表現するメディアとして、何でも手に入るオンラインではなく、手に入りにくいという意味でオフラインにこだわっています。
中でもコストパフォーマンスとメディア表現力で最もバランスがいいのがDVDです。ハウスミュージックのコンピレーションに映像をつけるなど、今は週1本の割合で制作しています。
ただ、オフラインであるDVDを制作するためのバックボーンはブロードバンドで、これは絶対になくてはならないものです。オフィスには1Gbpsの通信回線を引き込み、大容量データをやりとりしています。
僕は国内外を飛び回っているので、PCなどのデジタルツールを常に持ち歩いています。ネットからデータをダウンロードするので、高速回線が部屋にないホテルには泊まりません。それは最低条件ですね。
ブロードバンドをベースに何と組み合わせるか――
二つ目のテーマは『ハイブリッド』です。ブロードバンドは、もはや当たり前の時代。だから、それ単体ではなく、いかに他のメディアと組み合わせるかが重要になっています。
アップル社のiTunesやiPodは、バックボーンにブロードバンドがあることを前提に考えられています。「ブロードバンドとiPod」の組み合わせが新しいライフスタイルをつくっているわけです。今話題の「電車男」も、「ブロードバンドと携帯電話」のハイブリッドです。
インフラとして整備された今、それをベースに何をするのか、「これとこれを組み合わせてこう使うと面白いよ」と提案するスタイリングの時代です。
現在、あるメーカーとハイブリッドの商品づくりに取り組んでいます。ユーザーが欲しがっているのは、ブロードバンドやハード単体ではなく、すべてをひっくるめた〝スタイル〟なんです。
テクノロジーがもたらすのはコンテンツではなく、スタイル。だから、横断的な組み合わせを提案できるスタイリストがデジタルの世界でも必要です。
ECサイトでも何でも、ダントツに利用頻度の高いヘビーユーザーがいますが、こういう人たちがスタイリストに一番近いのもしれません。僕は『読者モデル』と呼んでいますが、例えば回線サービスであれば、一番トラフィックの多いユーザーのライフスタイルって興味ありますよね。実際にお金を払って自分の欲望でやっているわけですから、スタイリング能力は確実に高いはずです。
映像革命がやってくる
メールもブログも動画に
僕は普段、ブロードバンド回線を使って無料通話ができるインターネット電話を使っています。最初は話していましたが、今は特に話さないんです。
例えば僕が海外にいて、九州にガールフレンドがいるとします。インターネット電話をずっとつないでおいて、同じ映画のDVDを同じ時間にそれぞれ観るんです。食事も一緒にする。その姿が互いのWEBカメラに映っている。つまり、「話す」という行為を超えて時間を共有しているわけです。何も僕だけが時代の先を行っているのではなく、一般の人もこうしたことが気軽にできる時代です。ブロードバンドを使って何をするのか――。そう考えると、非常に面白いライフスタイルが実践できるんじゃないでしょうか。


1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に、「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員など要職歴任。六本木ヒルズのコマーシャルやルイ・ヴィトンのためのジャパニメーションのプロデュースなど多方面で活躍。ヴァージン・アトランティック航空などの広告にも自ら登場。9月7日には、初のDVD作品「Hyper Rainbow」をユニバーサルより発売予定。現在、10人余りのスタッフで40~50のプロジェクトを同時進行中という、まさにハイパーな生活を送っている
*日経ビジネスアソシエより転載
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